BOOKOFFパサージオ西新井店(東京都足立区西新井栄町)

僕が足立区の高校に通っていたころは、東武鉄道「西新井」駅のすぐ前に日清紡の大きな工場が有ったのですが、現在その場所には何棟もの高層住宅が立ち並び、大きなショッピングセンターも出来て、全く様変わりしました。こういう「新しい街」には基本的に面白い書店は生まれません。BOOKOFFを除いては。

「本をつくる」という仕事 / 稲泉連著(筑摩書房 , 2017.1)

さっちん(フォト・ミュゼ) / 荒木経惟著(新潮社 , 1994.11)

このBOOKOFFは品揃えも雰囲気もいい店。以前とても役に立つホームページ作成の本を買えたことを思い出す。『さっちん』は、新刊で買っていたものを手放してしまったので嬉しい。この写真集の舞台になっている集合住宅は、荒木経惟の実家(東京都台東区三ノ輪)からもほど近い「都営荒川7丁目仲道アパート」ではないかと僕は見ています。あの当時から数えて2回目の建て直し工事が今まさに行われていて、痕跡のようなものはもう完全に失われてしまうのではないでしょうか。一方、『「本をつくる」という仕事』の第2章には「ドイツで学んだ製本の技」とある。ここで取材を受けている青木英一という方は、埼玉県八潮市の松岳社(青木製本所)4代目社長。19歳でドイツに渡り、7年間製本技術を学んで国家資格「製本マイスター」を取得。製本機械の操作技術のみならず、手製本の心得も身に付けておられるとのこと。

丸背のソフトカバーは、僕自身でも作ったり、見かけたら買い集めているものです。どこか和本(線装本)の風合いを感じさせます。このように薄い本の丸み出しも、機械を調整すれば可能とのこと。谷川俊太郎『ミライノコドモ』(岩波書店 , 2013.6)はそのうち買おう。

帰りは「関原通り」(東京都足立区関原)という古い商店街でお惣菜を物色。実はブックオフに行く前に通り掛かった「惣菜むさし」(東京都足立区本木)という店で1個50円のカキフライなどを購入済みだったのだけど、この商店街では1個30円のコロッケまで有って、物価の安さに驚く。八百屋の賑わい振りも印象的だった。ちなみにカキフライは普通に美味しくてまた驚く。

商店街の中ほど、「ひらさわ呉服店」の看板の筆文字。思わずお店の方に断りも無く写真を撮ってしまったのだけれど、仮名の迫力がすごい。一体どんな人がこの字を書いたのだろう。